07 大野田の家 2011

敷地は土地の区画整理が進む地域にあり,周囲は住宅のみならず,幼稚園や企業も立地する区画規模の大きな場所である.

この地で地域に開放できる場をつくりたい-
施主のその思いを叶えるべく,この住宅では家族のプライバシーの確保以上に,外部や社会との繋がりを大切に考えた.

一面道路から駐車場6台分を確保するという前提条件により,駐車場かつ庭でもある外部空間を建物でゆるやかに囲む構成とした. 直角L型ではなく120度に開いた佇まいは,視線を水平方向に逃がし,流れを感じさせる悠然とした建ち方となる.
また,建物の角度が振れることで,庭はまとまった単位で南北に分割できる. それらを土間で連続させることによって建物の威圧感を軽減し,建物内に通り庭のような開放感を創りだしている.

薄く引き伸ばしたような内部空間は,どこにいても,庭の爽やかな緑や空を絶えず眺めることができ,心地よい風が部屋中を吹きぬける. 育ち盛りの子供たちが自由に走り回る格好の遊び場にもなっている.

大きなワンルームながらも,微妙に角度がふれた歪な壁の構成が立ち位置によってその場の質を変え,互いの距離感や見え方を変化させる. 広々とした中心部は光を存分に採り込んでより広がりの感じられる場所に,すぼまった端部はどこか少し落ち着いた印象を受ける. 繋がりながら,それぞれが自由に居場所をみつけることができる空間を目指した.

外壁は濃い色味のガルバリウム鋼板横葺きであり,木々の緑や自然の木部色を生かす背景と化す.
土間では,おしゃべりに花を咲かせ,ピアノの美しい音色が響き渡る. 畳の間の大きな窓では縁側のようにくつろぎ,庭の芝生では子供たちが寝転びながら本を読む姿が,
あちらこちらからあふれ出す楽しげな風景に,通りをゆく人も思わず立ち寄りたくなってしまう,そんな場になればと願っている.


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【概要】
用途:専用住宅
敷地面積:303.00㎡
建築面積:84.54㎡
延床面積:155.51㎡
構造:木造在来軸組工法
階数:2階
設計期間:2010.01~2010.09
施工期間:2010.10~2011.06
設計監理:一級建築士事務所アーバンスケープ
施工:株式会社片倉工務店



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